[バックナンバー]

第1回:エフフォーリア編

第2回:サリオス編

第3回:ホットロッドチャーリー編





この新種牡馬考察の記事は、基本的に「競走馬出資を嗜む皆様(要は、いわゆる一口馬主の方々)」に向けての記事なので、チュウワウィザードのような、日高の生産馬ばかりのためクラブで募集がかかるか読めない種牡馬って取り上げにくいんですよねぇ。

今回取り上げるウィルテイクチャージもダーレー・ジャパンの供用馬なので、産駒がクラブに来るかどうかは難しいところなんですが……。私が入会しているとあるクラブがですね、代表を勤めている方の関係かダーレー色が濃くなってきたんで、何かと縁がありそうなんですよね……。すいません、個人的な理由で(^w^)





ウィルテイクチャージ 001

クラシックは無冠に終わったものの“真夏のダービー”ことトラヴァーズSでG1初制覇を果たしたウィルテイクチャージは、秋にBCクラシックでも2着(勝ち馬Mucho Macho Man、3着デクラレーションオブウォー、6着パレスマリス)に入りエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選出。現役引退後は米国で種牡馬入りしたのち、一昨年からダーレー・ジャパンにて繋養されています。



Unbridled's Song晩年の傑作で、この血と日本競馬との相性の良さが導入のきっかけになったことは想像に難くありませんが、すでに米国時代の産駒が何頭か輸入されて走っており、JRAで勝ち上がった4頭中3頭が、母方にSir Ivorを持つことは特筆すべきかと。

Love Ava Love 001

Dreamy Blues 001

Sir Ivorといえばディープインパクトの母の父Alzaoの母の父として知られており、ディープインパクトのしなやか柔い体質の根源と言える血。そしてディープインパクトとUnbridled's Songの有名なニックスは、Unbridled's Songの3代母IncantationとSir Ivorがニアリーであることが根拠。

Incantation 001

Sir Ivor 001

┌Blenheim
Mahmoud
└△
 └Mumtaz Mahal

┌Blenheim
Mumtaz Begum
└Mumtaz Mahal

となれば、Unbridled's Songの後継たるウィルテイクチャージも、まずは母方からSir Ivorもしくはそれに準ずる血を合わせたいところ。上の動画からは、ウィルテイクチャージ自身も体質の柔さを感じさせ、ディープインパクト肌から芝で走る仔も出てくるのではないかと思わせます。


もちろん基本的には、自身の現役時代と同じくダート中距離向きの種牡馬でしょうから、そのダート適性をより高める配合、War Relicのニアリークロスの継続や、「War AdmiralとLa Troienne」血脈を合わせるのもいい。母の母の父がRubianoなので、Tapit牝駒を持ってきてRubiano≒Tap Your Heelsとするのも面白そう。

あとは、ハーツクライを持って来て擬似スワーヴリチャードを目指すのもあり。Unbridled's Songの母の母の父Lucky MelがHyperionとRoyal Charger(Nasrullahと4分の3同血)で、トニービンのナスペリオンと呼応するのです。だからドゥラメンテやルーラーシップでもいいのですが、いずれにせよ母の母にスピードの血を入れるのを忘れずに。

Lucky Mel 001

┌Nearco
Nasrullah
└Mumtaz Begum

あと、将来的には名ブルードメアサイアーになれる資質を感じる馬でもあります。デヒア(母の父Secretariat)産駒の母Take Charge LuckyはG1を3勝し、きょうだいや近親にもG1馬が出ている牝系、何より父Unbridled's Song自体が母方に入って優秀な血。もし母優のあるクラブにウィルテイクチャージ牝駒が来るようなら、一考の価値あり。

最後になりましたが、本馬はFapianoの3×4という濃いクロスを持つので、まずは濃いクロスを持たない繁殖を合わせるのが基本。上記した通り中距離向きということは、母方よりスピードを取り入れるのも肝要。本来はSir Ivorうんぬんより、こちらを意識することが血統論配合論的には大事なんですけどね(^_^;)





☆ポイントまとめ

・濃いクロスを持つ中距離血統、母には濃いクロスを持たないスピード馬が合う

・Sir IvorをはじめとしてUnbridled's Songを活かせる血を合わせたい

・将来的には優秀な母の父となりそう





★募集されたら激アツ?な好配合馬


パラダイスレーンの2024(牝)

冒頭で書いた“私が入会しているとあるクラブ”で募集されそうな馬をピックアップ。この牧場のウィルテイクチャージ産駒はやっぱり多いのですが、この馬は母のNorthern Dancerクロスがやや濃いものの、Welsh Flameを祖とする牝系(Marjuとかドゥレッツァとかステラリードとか活躍馬多数)が魅力的。

本馬の母の父アメリカンペイトリオットは「母方にIncantationを持ち、自身はMoon Glitter=Relaunch(その父In Reality)で、マイルG1を勝ったWar Front(母の父Rubiano)産駒」なので、ウィルテイクチャージとは色々とフックしあって面白い組み合わせ。


ニーズヘッグの2024(牝)

私、冒頭で触れたクラブ以外にもう一つ別のクラブにも入会してまして、そちらで募集されそうなゆかりの血統馬からも1頭。同クラブ所有馬だった母は3勝Cまで勝ち上がったのち地方に移籍し、交流重賞にも出走した活躍馬。この仔が初仔ですね。

本馬も母の父がマイラー血統のヘニーヒューズであること、そして母方にダンシングブレーヴを持つことがポイント。ダンシングブレーヴの母の父DroneはSir GaylordとTom Fool(Pharamond、Bull Dog〔=Sir Gallahad〕、AlcibiadesがSir Ivorの母Atticaと共通)だから、Sir Ivorと非常に血統構成が似ており、もちろんIncantationともニアリー。